「ロードスター(3代目)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2005/11/11


当時、壊滅状態だった軽量オープンスポーツを復活させ、世界的な大ヒット作となった初代「ロードスター」。その原動力の一つが、シンプルさと面のうねりを特徴とした、デザインの魅力だったことは間違いないでしょう。

リトラクタブルライトのシンプルな顔に、これまたシンプルなボディを組み合わせ、能面をイメージした微妙な面のうねりによって情感を表現したデザインは、スポーティーさと色気と愛らしさを同時に備える、ライトウェイトスポーツとして理想的とも言えるものでした。



しかし、続く2代目はリトラクタブルライトを奪われたことで、シンプルさとうねりの両立に悩むことになります。

うねったボディに固定式ライトを合わせようとすると、ライトの形状にも抑揚を付けるしかないのですが、そうすると、顔に表情が生まれてしまい、もう一つの特徴であるシンプルさを保つことが出来ないのです。そこで、2代目はシンプルさを諦め、より抑揚を増したボディにボリューム感のあるヘッドライトを組み合わせるという、マッチョなイメージのデザインへと進んでいったのです。



それに対して、この度登場した3代目は、シンプルさの方に焦点を当ててきました。

楕円をモチーフにしたヘッドライトは、表情があるかないかのギリギリのバランスに抑え、このシンプルなヘッドライトに合わせてボディのうねりを無くし、その代わりに張り出したフェンダーアーチでアクセントを付ける方法を選んだのです。





そんな訳で、初代の持つ2つの特徴を半分ずつ受け継いでデザインされた2台ですが、フロントマスクの賛否が議論の的になってしまったという点では、どちらも同じことでした。

だけど、固定式ライトでは、初代のシンプルさと面のうねりを両立したデザインを再現できないのですから仕方ありません。リトラクタブルライトが復活しない限り、初代のファンを心から納得させるデザインを作り出すことは不可能なのです!



そんな無いものねだりの2代目と3代目ですが、僕が好きなのは、断然3代目! 2代目のライトも、ボリューム感のあるボディとのバランスで言えば間違ってはいなかったと思うけれど、僕には脂が濃過ぎました。

一方、3代目のライトは一見味気ないけれど、見る角度によってはシャープさもあって、ダシの効いた和風の旨みを感じます。ブリティッシュな初代から、こってりアメリカンと、さっぱりジャパニーズの2つの味へと分かれた訳ですが、日本人の僕には、3代目の方が口に合うようですね。





ただ、そうは言っても、3代目も、モダンなフロント&サイドと、初代そのままのクラシカルなリアデザインの組み合わせには、若干のアンマッチが残っています。全体のバランスを考えるならば、リアも、もう少し現代的なデザインに変えるべきでしょう。

だけど、今や、かつてのカローラのように、固定ファンを最重視している「ロードスター」です。初代との関連性を断ってしまう訳にはいきません。固定式ライトを使うことで嫌でも変わってしまうフロントマスクの代わりに、後ろ姿で初代のイメージを守らなくてはならんのです。

となれば、議論にさらされるのは覚悟の上で、これからも初代のリアデザインに似合う固定式ライトの模索を続けるしかないのでしょうね。



そこで、思うんですけど、いっそのこと全く変えないっていうのは駄目なんでしょうか? リトラクタブルライトを復活させ、基本的に初代のデザインのまま作り続けるのです!

全く変えないって?と思うかもしれませんが、いい例がポルシェです。それこそ何十年も同じようなデザインでありながら、色褪せることも飽きることもなく、常に新鮮な魅力を保ち続けています。ボクスターでさえ、殆ど姿を変えていないんですから、ポルシェが目新しさのためだけのデザイン変更を認めていないことは明らかです。問題点があれば、そこは技術で乗り切り、デザインは不変を貫くのです!





そりゃ、大衆車でこれをやったら、さすがに見飽きちゃうでしょうが、月販数百台程度の「ロードスター」なら、不可能ではないと思います。

もちろん、ポルシェのように時代に合わせた改良や、性能UP(早く走るって意味の性能ではないです)、品質の向上なんかは必須です。形は変わらなくても、注ぎ込まれた技術は常に最新で、品質感もトップクラスを維持しなくてはなりません!

多分、デザインを変えないまま進化し、魅力を保ち続けることは、変化を続けることよりも難しいことでしょう。でも、毎度ヘッドライトに悩み、煮え切らないモデルチェンジを繰り返すぐらいなら、根性を据えて、その難しいことに挑んでみる価値はあるんじゃないでしょうかね。



ってことで、「ロードスター」のかっこいい度は75点

固定式ライトという制約の中では、充分「ロードスター」らしいデザインだと思います。



で、販売予想は月500台

期待を込めて、メーカー目標の360台よりも多くしておきますね。

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