「ツイン(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2003/2/2


今回の題目はスズキの「ツイン」。最近にわかに脚光を浴び始めた、小さなシティコミューターであり、軽自動車初のハイブリッドカーでもあります。

この「ツイン」、実は、ずいぶん前から「Pu3コミュータ」って名前で、モーターショー等には出品されていましたが、正直なところ、まったく興味を持ってはいませんでした。ところが、雑誌等で、発売された実車の写真を見てみると、なかなか「かわいい」のです。

そんな訳で、思わず取り上げることにしました。




で、「ツイン」を見て、まず思い浮かぶのは、スマート、トゥインゴ、フォードKa(「Twin」と「Twingo」の綴りが似ているのはご愛嬌?)。荒っぽく言えば、スマートのコンセプトを、トゥインゴやKaの玩具的なデザインで包んだ車ってところでしょうか。

だからと言って、どれかに似ているって訳じゃなくて、一種独特な存在感。同じ2シーターのスマートが、全長の短い車としてバランスの取れたプロポーションなのに対し、普通の軽自動車からリアシート分をちょん切って縮めたかのようなアンバランスさが、玩具感を強調しています。

さらには、ちょっと怒ったような丸いライトや、原色の鮮やかなボディカラー、そのボディカラーを生かしたホイールキャップなども玩具感を演出。全体的に、「かわいい」デザインとして、統一されていると言えるでしょう。



しかしです、僕が何よりも評価したいのは、大胆に使った黒い樹脂材バンパー。(正確には「ガソリンA」以外はブルーグレー。ちなみに、無塗装ではないようです。)

日本では、安っぽく見えるって理由で嫌われものだけど、僕は小型車と樹脂バンパーの組み合せって、好きなんですよね。全身一色で塗り潰されて、つるんとした車よりも、立体感があって「かっこいい」と思うのです。

もっとも、日本車の樹脂バンパーの使い方は、デザイン的に「かっこよくない」ものが多いのも事実。廉価版のために、カラードバンパーを、単に黒い樹脂材に変えただけのものが多く、いかにも、安物車の印象を与えてしまうのも仕方のないところでしょう。





ところが、ヨーロッパの車に目を向けてみると、樹脂バンパーなんて、あたりまえ。BMWやボルボだって、堂々と使っています。特に、小型車の場合は、Ka、プジョー206、ヴィータなどのように、樹脂バンパーをデザインのアクセントにしている例も多いのです。

日本車の樹脂バンパーも、もっとデザインされたものが増えれば、安物感が払拭されていくんじゃないかとは思うんですが、ステップワゴンのように上手く使っても、市場の評判は悪いんですよね・・・。

そんな訳で、樹脂バンパーの地位向上のためにも、大胆にデザインに生かした「ツイン」は好印象。販売不振で、カラードバンパーに変えるようなことは、しないで欲しいですね。



さて、そんな「ツイン」のかっこいい度は、35点!

いいことばっかり書いていたんで、評価が高そうに思うでしょうが、デザイン的には、まだまだ荒削り。全然練り込まれてはおりません。

まぁ、樹脂バンパーの採用を評価してボーナス10点。計45点!としておきましょう。



さてさて、販売台数予想ですが、はっきり言って、今回は難しいですね。なんせ、価格設定が微妙なんです。

実は、「ツイン」って、結構高価な車。エアコンもついていない廉価版の「ガソリンA」なら49万円だけど、必要な装備の付いた「ガソリンB」は84万円。アルトやスイフトが買えちゃう値段です。

もちろん、先輩格にあたるスマートにくらべれば安いんだけど、スマートに乗るってのは、ファッションであり、エコロジーを意識していますっていうシンボルでもあるのです。

つまり、スマートは一種のブランド品。スマートに乗っていることが「スマート」なのです。それに、車としても真剣に作っていますから、多少高くたって、買いたくなるのは理解できます。




一方、「ツイン」に、そうしたブランド性があるかっていうと、ちょっと疑問。かわいいけど、ファッショナブルとは言えないし、燃費を考えると、さほどエコロジーって訳でもありません。(日本では、エコロジー=低燃費でしょう。)

「ガソリンB」のリッター22kmって燃費は、サイズや車重を考えると悪すぎるし、ハイブリッドは、せめてリッター40km台にしないとインパクトはありません。車作りの姿勢にしたって、スマートほどの気合は見られません。

これじゃぁ、ブランド品として「ツイン」を売るのは、ちょっと無理。

それなら、街乗り用の低価格な足として売るしかないんだけど、それには前述したように、意外と高いのです。二人しか乗れないことを考えると、「ガソリンB」で64万円! これぐらいの値段じゃないと売れない気がするんですけどね。(ハイブリッドは殆ど売れないでしょう。)



それでも、僕の予想は月300台

メーカー目標の200台よりは、ちょっと多めにしときます。

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