「eKワゴン(初代)」のデザイン採点と販売台数予想

written on 2001/11/6




さて、今回のお題は「eKワゴン」です。販売落ち込みの激しい三菱にとって、起死回生を狙う期待の星です。

で、結論から言っちゃうと、この車がかっこいいかどうかと聞かれたら、「まぁいいんじゃない。70点!」って感じです。

ただねぇ、「eKワゴン」ってデザイン云々っていうようなもんじゃないと思うのです。言うなれば、デザインしないことによって生まれたデザインって感じなんですよね。どこから見ても、変わったところや、目新しいところなんてありません。どこにも特徴が無いのが、特徴です。



なんて書いてると、けなしているのかと思われるかもしれませんが、僕は、この車は「これでいいんだ」って思うのです。

販売台数激減中の三菱としてはシェア拡大のために、何としても台数を稼ぎたいはず。じゃあ、今一番売れている車は何かって言うと、ワゴンRに代表されるトールボーイタイプの軽自動車です。 でもワゴンRを追従したトッポBJは、もうひとつパッとしなかった。

トッポBJが何で伸び悩んでいたのかって言うと、いろんな理由があるんだろうけど、僕は、先行するワゴンRやムーブとの差別化のために妙なデザインになっちゃったせいだと思うのです。

かといって、ワゴンRとまったく同じデザインで出すわけにもいきません。画期的な機能でも搭載していない限り、後発としては、見た目での差別化ってのは不可欠です。

でも差別化しようとしたらトッポBJになっちゃった。

それじゃあ、どうしたらいいかって言うと、新しいカテゴリーを作って、不変的なデザインを真っ先に投入しちゃうのが一番です。




実際、軽自動車にトールボーイスタイルを持ち込んだワゴンRも、乗用ミニバンの代表のオデッセイも国産FFワンボックスの先駆けとなったステップワゴンも決して斬新なデザインで登場したわけではありません。

これらの車の特徴は、今までに無かったパッケージングであって、表面的なデザインは、むしろ殆どされていなかったと言ってもいいでしょう。(ただし、シンプルなデザインの方が、パッケージングの新しさが強調されると思います)

でも、どの車も、そのカテゴリーでの代表車となり、人気を博しているのです。その後、デザインで差別化したライバル車が続々と登場したって、それは変わりません。



と言うことで(かどうかは分からないけど・・・)、三菱が目を付けたのが立体駐車場に入らないというトールボーイの軽の欠点をなくした、旧来のハッチバックとの中間的存在のセミトールボーイ。ここに「新しいカテゴリーにオーソドックスなデザインを真っ先に投入しちゃう」っていう勝利の法則通り、実にシンプルな「eKワゴン」を送り込んだのです。

つまり、「eKワゴン」は優れたパッケージングを持っているかもしれないけれども、デザインとしては、殆ど「無」の状態。しかしながら、これこそが、売れるポイントなのだと、僕は思うのです。

先陣がいないから、差別化のために、無理に変わったデザインにする必要はありません。シンプルなデザインだから、目に馴染みやすいし、なかなか魅力的です。無印良品やユニクロのようにシンプルなものは万人受けしやすいのです。

でも、これをかっこいいって言っちゃったら、デザインする人の意欲がなくなっちゃうでしょう。世の中の車がみんなシンプルデザインになっちゃうのも何なんで、僕は「eKワゴン」のかっこいい度は70点!としておきます。





さてさて、三菱のブランドイメージがボロボロな今だし、販売台数を予測するのは難しいけど、見た目だけを考えれば、月販1万台は可能でしょう。何しろ、嫌われないデザインだし、使いやすそうだし、安いし、カラーバリエーションも豊富です。

とは言え、軽自動車の潜在ユーザーがフィットに奪われ、マーチや、似たコンセプトの軽自動車の発売が続くことを考えると、そう上手くはいかないかもしれませんね。



ところで、僕は「eKワゴン」こそ、今後の三菱が進むべき方向だと思います。

トヨタがおもちゃ的デザインを突っ走り、日産が上質なデザインに目覚め、ホンダは世の中の流行とは無関係にのほほんとデザインし、マツダがスポーツ路線に活路を見出そうとしている今、三菱は質実剛健なイメージで行くのが一番なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか?

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